先日、Amazonにて「りっこのおいしいミニチュア」を購入しました。

説明は不要だと思いますが、作者のりっこさんはInstagramでフォロワー数6.4万人以上を誇る人気のミニチュア作家さんです。そのりっこさんの待望の単著が2020年4月22日に発売となりました。
ちなみにりっこさんのブログは以下です。アメブロの公式トップブロガーでもいらっしゃいます。
私もミニチュアを製作している身なので、とても恐れ多いのですが、個人的に感じているりっこさんのミニチュアの魅力を語りたいと思います。
イメージは素数
個人的にりっこさんのミニチュアは「素数」のようなイメージを持っています。『お前は何を言っているんだ…。』と思われるでしょうが、以下に説明します。私がミニチュアを作る場合、定番・オーソドックスなミニチュアを作ることが多いです。平凡で保守的なモチーフを選びます。言わば「最大公約数」を狙ったミニチュアです。
私は数年前ですが作ったミニチュアをある店舗に納品し、委託販売をしていた時期がありました。当時は冒険的なモチーフでミニチュアを作っていたのですが、これが全く売れませんでした。万人受け・最大公約数を狙ったオーソドックスなミニチュアに変更すると、やや売れるようになりました。独創性の高いミニチュアで好評を得るのは難しいと痛感した次第です。
パターンやバリエーションが豊富な食器類
りっこさんの作る食器類は、パターンやバリエーションが豊富です。Instagramから埋め込み引用させて頂いて、いくつか紹介したいと思います。
どれも素敵な食器類ですよね。これらはほんの一部です。
ここまで食器類のパターンやバリエーションが豊富なミニチュア作家さんは、りっこさん以外をイメージするのは難しいですね。
組み合わせが絶妙
個人的に凄いと思うのが、組み合わせの絶妙さです。たとえば以下の食器類を見てみましょう。
黄色のお皿とマグカップに注目してください。りっこさんの手にかかると以下のように変貌します。
洋食器を用いた焼き鮭の和定食!
たいていの方なら、焼き鮭の和定食と言えば以下のようなイメージではないでしょうか。

焼き鮭をワンプレートで盛るミニチュアフードは見たことがあります。しかし、マグカップに味噌汁を注いだ定食を見たのは、私の記憶の限りでは、りっこさんのミニチュアだけです。
書籍には、もう1つ鮭定食があります。こんどはTwitterの埋め込みを…。
和食プレート完成しました!
— りっこ (@ree0612) January 17, 2019
焼き鮭、鶏と野菜の甘酢あんかけ
とん汁、抹茶のティラミス
召し上がれ pic.twitter.com/1qezEKyj1b
これもスープマグに豚汁です。洋食器に和食を盛り付けて、カトラリーは箸。そして汁物はスープボウルでなくマグカップを使うというのがお洒落で独創的です。
さらに独創的なのが、副菜に「鶏と野菜の甘酢あんかけ」、デザートに「抹茶のティラミス」という組み合わせでしょう。着想のユニークさと、それらを融合させる食器の形や色味、質感の統一が素晴らしいです。センスも要求される高度な技術だと思います。
万人受けの最大公約数を狙うならば、鮭定食は和食器の茶碗に汁椀の組み合わせで、デザートも和のものをチョイスするのが鉄板でしょう。しかし、あえて定番を外すところが、素数的なイメージを感じます。
マグカップ!
りっこさんのミニチュアの象徴的な特徴として、やはり「マグカップ」は外せません。
これらもほんの一部です。たぶんマグカップだけでも数百種類あるのでは…?これだけ多彩なマグカップを作る作家さんも、りっこさん以外にイメージするのは難しいですね。おそらくマグカップだけで作品集ができるはず…。
マグカップの活用法も凄いです。
すみれのポップコーン入りマグカップです(ポップコーンで「すみれ」という組み合わせ自体も凄いですけども)。
そして…。
フード以外も!金魚入りのマグカップ!
もちろん鉢に入った金魚のミニチュアも製作されていらっしゃいますが、りっこさんならではのミニチュアでしょう。
夏のお菓子と言えば…
夏を意識したお菓子のミニチュアを作るとするならば、みなさんは何をイメージされますか?私だったらアイスクリームやジェラート、かき氷などの氷菓をイメージします。
私が衝撃を受けたミニチュアが以下です。
砂浜のディスプレイ台に、浮き輪に見立てたドーナツ!特に季節感のないドーナツに、夏のイメージを吹き込んだ見事な作品です。
もちろん、りっこさんもカキ氷のミニチュアもいくつか作ったりしています。しかしながら定番のカキ氷だけでなく、なかなか他では見ることのない独特なカキ氷も作ってらっしゃるので、その辺りはぜひ書籍で確認されてください。書籍には作品の解説や背景などが書かれていて、非常に参考になると思います。
まだまだ語るには足りませんが、着想の独自性と調和させるセンス・技術が抜群なので、りっこさんのミニチュアは大人気だと思います。ミニチュア界の多様性を支えてらっしゃる一人と言っても決して過言ではないでしょう。