【色の物語】インディアンイエロー

解説

※この記事は別サイトに投稿した記事を再構成しています。

フェルメールやゴッホなど、著名な画家たちが愛用していた黄色顔料が「インディアンイエロー」です。インディアンイエローの持つツヤと深みのある黄色の色調が好まれた理由でしょうか。

顔料としてのインディアンイエローはインドが原産で、ピウリーという名称で輸出されていたそうです。インディアンイエローは17世紀ごろにオランダに持ち込まれます。やがてインディアンイエローは主にオランダの画家を中心にヨーロッパ中に広まりました。当時の東インドはオランダ領だったので、インドとの交易品の中にインディアンイエロー(ピウリー)もあったのでしょう。

長らくインディアンイエローの原料は謎に包まれていました。(ただし、アンモニアに似た刺激臭のある顔料だったので、何らかの動物の尿が由来ではないかと考える人もいたようです。)

19世紀になってインディアンイエローの調査が行われ、その調査結果に世間は驚くことになります。報告によるとインディアンイエローの原料とは、牛の尿から作られているという衝撃的な内容でした。しかも、牛にマンゴーの葉のみを食べさせ、排出される尿からインディアンイエローの顔料を精製しているというのです。

報告によると、マンゴーの葉だけを食べさせられる牛は栄養失調のため早死にすると記されており、インディアンイエローは動物虐待として非難を浴びることになります。そうして抗議運動の結果、インディアンイエローの製造・取引は禁止となり、1920年代には流通も途絶えることになります。今では入手できない幻の黄色顔料になってしまいました。

ただし、この報告の真偽を問う声もあり、インディアンイエローの原料はいまだにベールに包まれたものとなっています。

現代ではインディアンイエローの顔料は牛の尿でなく、たとえばリキテックスの絵の具だと顔料はイソインドリンという化合物が使用されています。インディアンイエローという名前は継承されていますが、使用しても動物虐待にはならないので安心です。

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