アクリル絵の具を使って絵や色を塗りたいと考えている入門者や初心者におすすめする絵の具は、サクラクレパスのアクリルガッシュ12色13本セットです。カラーバリエーションは12種類ですが、よく使用するホワイト(白)が2本付属しているので計13本のセット。非常にお得です。記事執筆時点でヨドバシドットコムにて送料込み1260円で購入可能です。
Amazonプライム会員ならば、送料込みでもう少し安く買えるかもしれません。(※記事執筆時点で1145円。販売元はAmazon.co.jpを推奨。)
以下におすすめする理由を列挙します。
この記事を書くきっかけは?
先日、以下の注意喚起のツイートを読みました。
簡単に説明すると、アクリル絵具でない絵の具12色セットを、アクリル絵具という表記で販売している業者がいるので注意するように呼び掛けています。たしかに画像にある成分表を見る限り、これはアクリル絵の具でなくて水彩絵の具のように思えます。記載の型番で検索すると、通販で送料別1100円にて販売されている絵の具セットのようです。
入門者・初心者のかたは、「サクラクレパス」や「ぺんてる」といった信頼できる国内メーカーの絵の具セットの購入をおすすめします。
アクリル絵具と水彩絵具の違い
絵や塗料に興味がなければ、アクリル絵具と水彩(すいさい)絵具の違いがよくわからないと思います。ざっくりと説明すると、そもそも絵具(えのぐ)というのは、「色の素(もと)になる成分」と、「色の素を定着させる成分」を混ぜたものになります。乱暴に言ってしまうと、絵具とは「色のついた接着剤」になります。
主に絵具の色の成分になるのは、顔料(がんりょう)と呼ばれる細かい粉状の物質が多いです。油彩(ゆさい)で使う油絵具(あぶらえのぐ)は、色の素である顔料に接着成分として油(乾性油)を混ぜたものになります。油絵具は深みのある色合いや強力な接着力が魅力です。
その接着力は、油汚れのこびりついた台所や、手についてしまった油性ペンを想像するとわかりやすいかもしれません。しかしながら、油絵具は乾燥(正しくは重合や硬化)が遅いという性質があり、これがデメリットになることも少なくありません。また、油絵具は水洗いができないので筆のお手入れも面倒ではあります。
いっぽう水彩絵の具は、接着成分にアラビアゴムやデンプン由来の食物繊維類を使っています。水に溶ける性質があり、扱いやすく筆の洗浄も簡単です。油絵の具よりも乾燥が速いというメリットもあります。ただし、接着力が弱いので金属やプラスチックに塗ることは難しいです。水がかかると簡単に色が落ちてしまいます。
20世紀になると、この油絵具と水彩絵具の長所をあわせ持つ、夢のような画期的な絵の具が誕生します。それがアクリル絵具です。
アクリル絵具は、その接着成分にアクリル樹脂(じゅし)を使っています。アクリルのセーターや、アクリルのキーホルダーと同じアクリル樹脂です。このアクリル樹脂を接着剤にすることで、速乾性と高い接着力を実現しています。アクリル絵具は水分が蒸発すると耐水性になるので、野外で使う植木鉢などの色塗りにも最適です。乾燥する前なら筆やパレットも水洗いできます。まさに夢ような絵の具です。デメリットとしては水彩絵具よりも製造が難しいので、水彩絵具よりも販売価格が高価になりやすいところでしょうか。
私の場合、絵の具で絵を描くことはほぼありませんが、ミニチュアの塗装にはアクリル塗料を使うことがほとんどです。
上の画像のミニチュアも、メロンアイスはサクラクレパスのアクリル絵具「ライトグリーン」で着色しています。(スプーンは他社製のアクリル絵具ですけど…。)
透明調のアクリルカラーと不透明調のアクリルガッシュ
さて、サクラクレパスの12色セットをおすすめしていますが、サクラクレパスのアクリル絵具セットは12色12本セットの「アクリルカラー」と12色13本セットの「アクリルガッシュ」の2種類が存在しています。この違いはどこにあるのでしょうか?
アクリルカラーは透明調で、アクリルガッシュは不透明調の絵の具になります。色が透けやすいのがアクリルカラーになります。
たとえば赤の絵の具を塗って乾燥後に黄色の絵具を重ね塗りした場合、アクリルカラーは下地の色が透けやすく、上図のような重なった部分がオレンジっぽくなります。いっぽうのアクリルガッシュは透けにくいという性質があります。下地の色を覆い隠す力を「隠蔽力(いんぺいりょく)」と呼びますが、一般的にガッシュの絵の具は、その隠ぺい力が高い傾向にあります。
水彩のような淡いタッチの絵を描きたい場合は、透明感の高いアクリルカラーを使うとよいかもしれません。イラストのようなタッチで絵を描きたい場合はアクリルガッシュでしょうか。
とくにこだわりがなければ、アクリルガッシュをおすすめします。ちなみにぺんてるのアクリル絵具は不透明調のガッシュのみです。
サクラクレパスのアクリルガッシュは色数が豊富
サクラクレパスのアクリルガッシュをおすすめする理由の1つに、カラーバリエーションの豊富さが挙げられます。サクラクレパスのアクリルカラーや、ライバルのぺんてるのアクリルガッシュは12色しかありません。サクラクレパスのアクリルガッシュは、基本の12色の他にもカラーバリエーションがあります。
基本の12色以外に、オレンジ・オペラレッド・ミドルグリーン、ウルトラマリンディープ、マゼンタの5色が単色の別売りで存在します。
また、混色・調色向けのプライマリーカラー(原色)も存在します。ちょっと上級者向けかもしれませんが、いわゆる三原色と呼ばれているものです。プライマリーイエロー、プライマリーシアン、プライマリーマゼンタの3種類が存在します。このプライマリーカラーについては、過去の記事でも少し触れています。
このようなバリエーション、拡張性が高い点もサクラクレパスのアクリルガッシュの魅力でしょう。
少し補足すると、サクラクレパスのアクリルカラーとアクリルガッシュでは色の種類(カラーチャート)に違いがあります。たとえばアクリルカラーには紫(モーブ)がラインナップにありませんし、ガッシュには黄土色(イエローオーカー)が存在しません。
手に入りやすいアクリルガッシュ
サクラクレパスのアクリルガッシュをおすすめする理由の1つに、入手性の高さも挙げられます。文具店やホームセンターでもよく見かけるので、とても買いやすいと思います。
単品購入ができる
絵の具セットを使っていくと、よく使う色とあまり使わない色に差が出てきます。補充を考えると、特定の色を単品買いができるかどうかも重要になります。その点、サクラクレパスやぺんてるといった有名メーカーの絵具であれば、単品売りもしていますので安心です。
100円ショップで購入できる
前述の入手性の高さや単品買いができる点と重複するかもしれませんが、サクラクレパスのアクリルガッシュをおすすめする理由の1つに、100円ショップのワッツで購入できることが挙げられます。
100円ショップのワッツは、記事執筆時点で1641店舗。全国47都道府県に展開しています。通販のワッツオンラインでも購入可能です。
ただし、売っている色は11色しかない点は注意が必要です。基本の12色セットにあるバーントシェンナはなぜか販売されていないようです。(私はホームセンターのビバホームでバーントシェンナを170円くらいで単品購入しました。結果的に12色13本セットを買うほうが得だったことは言うまでもありません。)
他にも優れた点があるのですが、マニアックな内容になるので省略します。とにかく使い勝手のよさやコストパフォーマンスなど総合的に考えて、私がおすすめするアクリル絵具の入門セットはサクラクレパスのアクリルガッシュ12色13本セット一択です。
余談ですが、筆に関してはぺんてるのネオセーブルを愛用しています。
【追記】各セットのカラーバリエーションを記載しておきます。
サクラクレパス アクリルカラー12色12本セットは以下です。
- オレンジレッド
- フタロシアニンブルー
- ウルトラマリンブルー
- イエローオーカー
- ナフトールクリムソン
- フタロシアニングリーン
- バーントシェンナ
- イエローオレンジ
- レモンイエロー
- アイボリーブラック
- イエローグリーン
- チタニウムホワイト
サクラクレパス アクリルガッシュ12色13本セットは以下です。
- ホワイト
- ブラック
- バーミリオン
- カーマイン
- レモンイエロー
- イエローディープ
- ライトグリーン
- パーマネントグリーン
- コバルトブルー
- セルリアンブルー
- モーブ
- バーントシェンナ
ぺんてる アクリルガッシュ12色13本セットは以下です。
- パーマネントレモンイエロー
- バーントシェンナー
- パーマネントレッド
- セルリアンブルー
- イエローグリーンライト
- ビリジアン
- コバルトブルー
- ジェットブラック
- ホワイト
- パーマネントスカーレット
- パーマネントイエローディープ
- バイオレット