【色の物語】アイボリーブラックとボーンブラック

解説

※この記事は別サイトに投稿した記事を再構成しています。

絵の具の黒には、アイボリーブラックやボーンブラックと呼ばれる色があります。アイボリー(ivory)は象牙、ボーン(bone)は骨という意味です。象牙も骨も黒色ではありませんが、なぜアイボリーブラックやボーンブラックという名前がついているのでしょうか?

名前の由来

アイボリーブラックは象牙を高温で焼成し炭化させたものが原料になります。これを象牙炭(ぞうげたん)と呼びます。同じくボーンブラックは動物の骨を焼いて炭にしたものが原料です。これを骨炭(こったん)と呼びます。アイボリーブラックやボーンブラックという名前は、使用する原料である象牙や骨が由来となっています。

ミニチュアフード製作に向く黒は?

黒の塗料は青みを帯びた黒が多いです。一般的に青っぽい黒の方が人間の目で見た場合、より黒らしく感じるそうです。アイボリーブラックやボーンブラックは赤みのある黒になります。他のブラックに比べて柔らかい黒と言えるでしょうか。

食べ物の黒といえば、焼きのり、黒豆、黒ゴマ、黒オリーブ、ひじき、イカ墨……などあります。ミニチュアフード製作で黒の絵の具を使う場合、青みのある黒よりも赤みのある黒であるアイボリーブラックやボーンブラックが向いているかもしれません。

黒はカビやすい?

アイボリーブラックやボーンブラックの主成分はリン酸カルシウムです。このリン酸カルシウムはカビの栄養分になるので、アイボリーブラックやボーンブラックはカビやすいという弱点があります。とくに日本のような高温多湿の国では、よりカビが発生しやすい条件が揃っています。

現在の市販されているアイボリーブラックやボーンブラックの塗料には、防カビ剤が添加されているので、そこまで神経質になる必要はないかもしれませんが、知識として知っておくとよいでしょう。たとえば日曜大工で木製のブックスタンドを作り、その木製ブックスタンドを黒に塗る場合はリン酸カルシウムが豊富なアイボリーブラックやボーンブラックを避けて、他の黒色塗料を使うほうがよいかもしれません。カビを防止するためにニスを塗って保護するのもよいでしょう。

高級顔料となった象牙炭

牛や豚などの骨を焼いて作ったブラックよりも、象牙を焼いて作るブラックのほうが美しいとされています。そのために古来より象牙から作るアイボリーブラックは重宝されてきました。

しかしながら1990年のワシントン条約により象牙の国際取引は禁止となっています。現在、アイボリーブラックと称している黒の絵の具は、骨炭を原料にしたボーンブラックの中で特に性能の高いものをアイボリーブラックと呼んでいるケースがほとんどのようです

ただし、過去に輸入された象牙を使って印鑑をつくるときに発生する削りカスを集めて、本物のアイボリーブラックを製造・販売している絵具メーカーも存在します。

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