絵の具の赤と青を混ぜても紫にならない理由

解説

一般的に絵の具の混色で紫を作り出すには、赤の絵具に青の絵具を少しずつ混ぜて作り出すと言われています。しかしながら、実際に赤と青の絵具を混ぜてもきれいな紫を作り出すことは難しいです。赤と青の絵の具を混ぜると暗い鈍ったような色になります。なぜ赤と青の絵具を混ぜてもきれいな紫にならないのでしょうか?

赤と青と黄色を混ぜると黒に近い色になる

赤と青と黄色の3色を混ぜると黒に近い鈍い色になります。

純粋な赤と青を混ぜるときれいな紫になるのですが、これに黄色が加わることによって色が濁ってしまいます。

黄色の成分が含まれる赤と青

赤の絵具には「赤の成分だけの赤」、「黄色の成分が入った赤」、「青の成分が入った赤」、「黄色と青の成分が入った赤」があります。(さらにこれらの要素に「白の成分」や「黒の成分」も入ったりするのですが、話が複雑になるので今回は省略します。)

シンプルに図解すると以下のようになります。

赤と青の成分だけの絵具を混ぜるときれいな紫に。

青に「黄色の成分のある赤」を混ぜると茶色っぽい色に。

「黄色の成分のある青」に赤を混ぜると黒に近い青色に。

「黄色の成分のある青」に「黄色の成分のある赤」を混ぜると黒に近い濃い青色に。

つまり、絵の具に含まれる黄色の成分の影響で、赤と青を混ぜてもきれいな紫色にならないのです。黄色の成分を含まない、もしくは黄色の成分の少ない赤と青を混ぜないと、きれいな紫を作り出すことはできません。

前回の記事で、サクラクレパスのアクリル絵の具を紹介しました。

100円ショップでは見かけたことはありませんが、サクラクレパスのアクリル絵の具は「プライマリーイエロー」、「プライマリーマゼンタ」、「プライマリーシアン」という原色が販売されています。このプライマリーマゼンタとプライマリーシアンを混ぜることによって、きれいな紫を作ることができます。(ちなみにプライマリーは「原色」を意味しており、ときどきプライマリーを「プライマー」入りの塗料と勘違いされている方もいらっしゃいますが、それは誤りです。)

ただ、そもそも混色で鮮やかな紫を作るのは難しいので、最初から彩度の高い「紫」の絵の具そのものを買っておくのが妥当でしょうか。(塗料を買い揃える手法としては、混色・調色で作るのが難しい色から購入するという方法も有効です。鮮やかな紫の他に、青みがかった緑色の「ビリジアン」なども混色で作ることが難しい色の代表格ですね。)

タイトルとURLをコピーしました